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日仏景観会議について

2026年9月25日

2006年(平成18年)には、柳川において「日仏景観会議」が開催されました。
この会議には、日本とフランスの専門家や関係者が集まり、柳川の景観や掘割をどのように守り、未来へつないでいくかについて、さまざまな議論が行われました。

11月3日には、白秋祭水上パレードを通じて、柳川の水辺の景観や文化を実際に体感し、11月4日・5日には、現地でのワークショップや討論会を行いました。
こうした議論や意見交換を踏まえ、会議の最後には、これからの柳川の景観づくりに向けたアジェンダとして、「柳川堀割景観創生への指針」がまとめられました。

ここでは、その「柳川堀割景観創生への指針」を紹介します。

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アジェンダ『柳川堀割景観創生への指針』

柳川の景観は、永年の人々の営みと叡智が創り出してきた。地域固有の文化と歴史の蓄積である。生活を支える様々な役割を果たしてきた堀割。堀割景観は、多様で深い意味を持つ、水郷柳川の象徴である。北原白秋ら多くの文化人を生み出してきた堀割景観は、人の感性を育てあげた「母艦」である。また、水と共に生きる技術を進化させてきた地域の知と科学の衣鉢でもある。

真に豊かな生活と生き生きとした地域の発展のためには何をすべきか。近代化の中、機能性や利便性を優先してきた発展の一方で水郷柳川の生き生きとした景観を失ってきた。自動車などの利便性を追求するだけでは都市の活力は維持できないことは、フランス等先進事例の経験から明らかである。

柳川の「地相」に相応しい発展とは何か。その鍵は堀割景観にある。再生を成し遂げた先進事例から学んだことにもとづけば、まずは、忘れられた堀割景観の意味と水と人の関わりを解読することから始めることである。そこから素晴らしい郷土の文化と歴史を学ぶ。

次に、これまでの過程を見直し、水郷柳川の真に豊かな生活の景観を守り、あるいは創り出す。まず観光ありきではなく、日常生活から生み出される生活の景こそが人を惹きつける魅力と価値を生み出す。堀割景観への敬意と配慮にもとづく景観の創生と維持への継続的な取り組みこそが、水郷柳川の持続的発展へとつながる。

その実現のために、本会議の結果を柳川堀割景観創生の指針としてここに宣言するものである。


一.【公共空間と共通財産としての景観への敬意】
堀割は公共空間であり、堀割景観は貴重な共通財産である。堀割景観は周囲のまちなみや遠景と一体であることを強く意識することが肝要であり、堀割内の舟下りなどから見える対象全てに関して、その景観の秩序や美しさに配慮する。

二.【景観を支える生態系と循環系の保全】
水郷独特の景観は、魚や鳥や草木の生態系が生み出している。個々の生き物は、景観の重要な構成要素でもある。生態系の保全と景観の保全は一体であり、水の循環の維持も健全な景観の保全に必須である。生態系と循環系の保全を基本とし、自然の摂理を上手に取り込んだデザインに取り組む。

三.【ネットワークと連続性の重視】
堀割景観は、堀割とや沿岸を移動しながら知覚するものである。移動に伴い、連続的に変化して見える全体像こそが重要である。そのために、堀割のネットワークとしての一体性と移動するルートの連続的なつながりを分断してはいけない。

四.【地区ごとの特性と歴史的文脈の解読と尊重】
柳川の景観は骨格や営みの成り立ちが異なる地区から成る。歴史、都市基盤の構成、建築様式等から柳川の地区ごとの景観の成り立ちを理解し、地区固有の文脈に根ざした景観のデザインを共有する。

五.【「水の構図」と視点場の尊重】

水郷柳川の景観の特色は、水とそれを取り巻く要素の組み合わせと特定の視点場からの眺めとして切取られた「水の構図」にある。景観を望む視点場の周辺環境を保全し、構図を乱さない。個々の構成要素は大切に保全し、更新時は周囲に調和したデザインとする。

六.【堀割内から見る景観の重視と断面構成のデザインの作法の共有】

堀割を軸とする断面構成と設えは、堀割内から見た堀割景観の命である。断面構成の入念な検討から景観の特色を捉え、堀割内の船からの視線や沿岸から堀割への視線に配慮し、水面と地上部の高低差や護岸等の素材の選定、設え等のデザインの作法を官民の共通ルールとして確立する。

七.【古いものと新しい技術や要素との調和と統合】

古いものを尊重する景観の保全に加え、新しい技術や要素を取り入れることにも取り組み、古いものとの調和と統合から生まれる美しさを導き出す。

八.【ハレの景観の舞台と背景への配慮】

祭りや催事には、堀割や道といった日常的な空間が仮設的な設えを施されたハレの舞台となる。舞台とその背景のまちなみを整え、ハレの景観をいつまでも変らず楽しめるように配慮する。

九.【人の営みと共に生きる景観への意識の涵養】

かつての役割を一部失った堀割ではあるが、人の営みと共に生きる水郷柳川の骨格的空間であることに変りはない。そこに人が居てこそ生き生きとした景観がある。市民は日常生活において積極的に堀割に関わりを持ち、来街者にも常に高い関心を持たせる工夫を施す。

十.【参加と協働の仕組みと方法の再構築と拡充】

堀割景観は人の手が入ってこそ維持される。堀割景観の創生と維持には継続的な取り組みが必須である。そのために、住民、行政、専門家、まちづくり活動家らが共に参加し、「郷土柳川」の郷土愛をもって主体的、継続的に取り組んでいく協働の仕組みを地域のコミュニティ内に再構築し、充実させていく。更に、その景観を愛し、楽しむ人たちの思いを活動へとつなげる仕組みを導入する。

 

二〇〇六年十一月五日
 

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