北原白秋生家(きたはらはくしゅうせいか)
概要
北原白秋生家は、海鼠壁(なまこかべ)が美しい瓦葺一部二階建の町屋で、幕末から明治初期の建築と考えられています。
近世柳川城下の港町である沖端(おきのはた)に残る最古の町屋です。当時の沖端は漁港、商業港として栄え、北原家は代々柳川藩御用達の海産物問屋を営む旧家でした。
北原家は明治以降は酒造業を始めて益々隆盛を極め、白秋は良家の坊ちゃんという意味の「とんかじょん」と呼ばれていました。
しかし、明治34年(1901)の大火で酒倉など大半が焼失。残された主屋等の屋敷は後に人手に渡りました。
昭和40年代に解体が計画されたことから市民の募金運動により買戻され、県史跡の文化財指定を受けるとともに復元修理を実施。
近代日本を代表する詩人北原白秋の顕彰施設として、また柳川城下の港町沖端に継承された町屋を体験できる文化財公開施設として昭和44年に開館しました。
北原白秋については、以下のページで紹介しています。
柳川の偉人(内部リンク)
やながわ人物伝(内部リンク)
展示内容
北原白秋生家の館内では酒造家としての北原家の生活空間が再現され、白秋の生い立ちや作品を紹介しています。
また、中庭にはからたちや朱欒(ざぼん)が植えられ、掘割に面した石組みの船着場から水面に臨むとアメンボや魚、カニなど少年時代の白秋が目にした水辺の風景を体感することができます。
白秋が作詩した全国の校歌や社歌を紹介している穀倉の展示も必見です。
白秋生誕100年にあたる昭和60年(1985)には、かつて北原家の酒倉があった生家南側に市立歴史民俗資料館(北原白秋記念館)が併設され、初版本等の文学資料や映像で白秋の生涯と業績を紹介しています。
市立歴史民俗資料館(北原白秋記念館)へのリンク(内部リンク)
名勝 水郷柳河の構成要素としての北原白秋生家
北原白秋生家は、平成27年(2015)に国の名勝指定を受けた水郷柳河(すいきょうやながわ)の構成要素になりました。
水郷柳河(すいきょうやながわ)(内部リンク)
水郷柳河は、近代日本を代表する詩人北原白秋の作品の源泉となった水景であり、風致景観が優秀であることから名勝の指定を受けました。
柳川市では毎年11月2日の白秋祭式典を中心に、11月1日から3日間にわたり白秋祭水上パレードが開催されます。
また、地元顕彰団体の白秋会が主催する1月25日の白秋生誕祭では、白秋の母校である矢留小学校児童による鼓笛隊のパレードが、白秋作品に描かれた水天宮や掘割のある沖端の町を巡ります。
水郷柳河や北原白秋生家は、白秋作品の舞台でもある水郷都市柳川の歩みや人々の暮らしを現在に伝える、貴重な文化遺産です。