水郷柳河(すいきょうやながわ)
[指定面積] 184,291.88平方メートル
[指定区分] 国
[種別] 名勝
[指定] 平成27年3月10日
[所在地] 福岡県柳川市沖端町55-1他
概要
水郷柳河は、近代日本を代表する柳川市出身の詩人北原白秋の故郷、柳川の水景です。
白秋の生家が残る沖端の漁村及び若き日を過ごした柳河の旧城下の界隈を縦横に巡る掘割の水面、それらに臨んで深い影を落とす三柱神社・水天宮などの神社境内の樹叢、水面との緊密なつながりを持つ敷地構成・風致に特質がある白秋生家及び並倉などは、新進の詩人としての地位を確立した抒情小曲集『思ひ出』から、田中善徳の撮影による写真に詩歌を付した遺稿『水の構図』に至るまで、白秋が数多の作品に描き、それらを生み出す原点となった優秀な風致景観を構成しています。白秋は『思ひ出』において水郷柳河を「静かな廃市」と呼び、「さながら水に浮いた灰色の柩」と表現しました。白秋の詩作活動の背景には、今や静かに廃れ行こうとしつつも、なお光彩陸離たる郷里柳河の水景への強い懐旧の念がありました。
水郷柳河の掘割の水面とそれらに臨む神社境内の樹叢などは、白秋の詩作の源泉となった優秀な水景の風致を誇ることから、その観賞上の価値及び学術上の価値は高いと評価され、名勝に指定されました。
水郷(すいきょう)の読みについて
柳川市は「水郷柳川(すいごうやながわ)」として広く知られています。
名勝指定にあたり「水郷柳河(すいきょうやながわ)」の名称を用いた理由は、白秋の第二詩集『思ひ出』、及び『水の構図』における白秋自身の言葉に拠ったためです。特に、水郷(すいきょう)の読みは、白秋が『思ひ出』をローマ字表記し出版した『OMOIDE』に求めました。