柳川古文書館では開館以来、通常展と企画展とを開催してきました。通常展では、館蔵史料をもちいて、日常の学芸活動の中から得られた知見をもとに、史料そのものをどう考えるか、ということをテーマにしてきました。
今回の通常展では、「日記」を取り上げます。「日記」とは、一般的には「個人や集団の体験を日時に沿って記録したもの」と定義されます。そうした意味からすると、「日記」という表題のものだけではなく、日誌や、メモ風のものに至るまで、様々なかたちがあることに気づかされます。
わたくしたちは、そうした「日記」を、歴史をひも解いていくための材料として用いることができます。そして、日時に沿って記録されていることから、書き手の経験を追体験することもできます。書かれた時より後に生きているわたくしたちは、記述されている内容を吟味することができます。
今回の展示では、江戸時代から明治・大正・昭和にいたる「日記」を紹介します。書き手の多様さ、そして書かれ方にいたるまで、その豊かなあり様をご覧いただき、当時の人びとの生き様を感じ取っていただけければ幸いです。
併設・白秋生誕140周年ミニ企画展「白秋詩碑と劇団かささぎ」
令和7年(2025)は、柳川出身の詩人・北原白秋(1885~1942)の生誕140周年にあたります。今回は、通常展「日記の世界」に併設する形で、柳川古文書館が収蔵する北原白秋関係の史料を用いて、「白秋詩碑と劇団かささぎ」というテーマでミニ企画展を開催します。
白秋は、最晩年の昭和16年(1941)に柳川に帰り、柳川への思慕を詩にした「帰去来」を作りました。これは白秋の最後の詩とされ、翌年白秋は東京で亡くなります。この「帰去来」の詩は、昭和23年(1947)に柳川沖端に建てられた詩碑に刻まれることになりました。この白秋詩碑は、柳川出身の小説家・長谷健(1904~57)が中心となって建てたものです。長谷健は、詩碑の建設費を集めるために、柳河文化クラブ(昭和21年に長谷健が創設)の演劇部の人々に劇団かささぎを結成させます。劇団員は、専業役者ではなく、それぞれに仕事を持ち、仕事の合間に稽古を行い、公演を行いました。
本展示では、この劇団かささぎに関する史料を紹介します。
会期
令和7年(2025)4月10日(木)~9月29日(日)
※併設ミニ企画展「白秋詩碑と劇団かささぎ」の会期は、4月10日(木)~6月29日(日)です。
会場
柳川古文書館(柳川市隅町71-2)入館無料
開館時間
9時30分から16時30分まで(入館は16時まで)
休館日
毎週月曜日(ただし、月曜が祝日の場合は、その翌日を休館とします)
*5月5日(月・祝)、5月6日(火・祝)は開館し、5月7日(水)を休館。
*7月21日(月・祝)は開館し、7月22日(火)を休館。
*8月11日(月・祝)は開館し、8月12日(火)を休館。
*9月15日(月・祝)は開館し、9月16日(火)を休館。