○柳川市議会基本条例
平成27年9月9日
条例第20号
地方議会は、多様な民意を反映しつつ、団体意思の決定を行う機能及び執行機関の監視を行う機能を担い、地方自治の本旨の実現を目指すものである。
柳川市議会(以下「議会」という。)は、市民の直接選挙で選ばれた議員で構成し、同じく市民に選ばれた市長とともに二元代表制の一翼を担い、市民の信託を受けて、市民の福利のため活動するものである。
特に地方分権の進展に伴い、自治体の自主的な決定と責任の範囲が拡大するなか、議会には情報公開と市民参加を基本とした議会運営が求められている。そのために議会は、市民への情報発信と意見の収集を積極的に行い、市民生活及び市政の現状を的確に把握するとともに、政策立案能力の向上に努め、あわせて議会での意思決定に関する説明責任を果たさなければならない。
よって柳川市議会基本条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、二元代表制の下、合議制の機関である議会の役割を明らかにするとともに、議会及び議員に関する基本的事項を定めることにより、地方自治の本旨に基づく市民の負託に的確に応え、もって市民福祉の向上と公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(議員の政治倫理)
第2条 議員はその活動に公正性と透明性を確保するため、柳川市政治倫理条例(平成19年柳川市条例第29号)を規範とし、遵守しなければならない。
(議会の活動原則)
第3条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。
(1) 公正性、透明性等を確保し、市民に開かれた議会を目指すこと。
(2) 市民の多様な意見を的確に把握し、市政に反映させるための運営に努めること。
(3) 品位、品格を保持し、議会の一員としてふさわしい活動をすること。
(4) 議会内での申し合わせ事項は、不断に見直しを行うこと。
(5) 市民の関心と傍聴の意欲を高める議会運営を行うこと。
(議員の活動原則)
第4条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。
(1) 議会が言論の府であること及び合議制機関であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。
(2) 市政の課題全般について、市民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高める不断の研鑚によって、市民の代表としてふさわしい活動をすること。
(3) 議会の構成員として、一部団体及び地域の代表にとらわれず、市民全体の福利の向上を目指して活動すること。
(市民参加及び市民との連携)
第5条 議会は、市民に対し議会の活動に関する情報公開を徹底するとともに、説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、本会議のほか、すべての会議を原則公開とする。
3 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第100条の2の規定による専門的知見と、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)は、法第109条の規定による参考人制度及び公聴会制度を十分に活用して、市民の専門的、政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。
4 議会は、市民との意見交換の場を多様に設け、意見の収集に努め、議員の政策立案能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。
(議会報告会)
第6条 議会は、市政全般にわたって、議員及び市民が自由に情報及び意見交換する議会報告会を行うものとする。
2 議会報告会に関することは、別に定める。
(議員と市長等執行機関の関係)
第7条 議会審議における議員と市長その他の執行機関及びその職員(以下「市長等」という。)との関係は、次に掲げるところにより、緊張関係の保持に努めなければならない。
(1) 本会議における議員と市長等との質疑応答は、広く市政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答の方式で行う。
(2) 本会議及び委員会への出席を要請された市長等は、議員の質問に対して反問することができる。
(3) 議会は、議員が行う市長等への口頭による要請に対して、両者の関係の透明性を図るため、日時、要請内容、対応、経過等を記録した文書を作成するよう市長等に求めるものとする。
(議会審議における論点情報の形成)
第8条 議会は、市長が提案する重要な政策について、議会審議における論点情報を形成し、その政策水準を高めることに資するため、市長に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。
(1) 政策の発生源
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討
(4) 市民参加の実施の有無とその内容
(5) 総合計画との整合性
(6) 関係法令、条例等
(7) 財源措置
(8) 将来にわたるコスト計算
(9) その他議会が必要と認める事項
(予算及び決算における政策説明)
第9条 議会は、予算案及び決算の審議に当たっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の政策説明資料を作成するよう市長に求めるものとする。
(議会の合意形成)
第10条 議会は、議員による討論の場であることを十分に認識し、議員相互間の討議を中心に運営しなければならない。
2 議会は、本会議、委員会等において、市長提出議案、市民提案等に関して審議し結論を出す場合、議員相互間の自由な討議により議論を尽くして合意形成に努めるものとする。
3 議員は、前2項による議員相互間の自由な討議を拡大するため、政策、条例、意見等の議案の提出を積極的に行うよう努めるものとする。
(政策討論会)
第11条 議会は、市政に関する重要な政策及び課題に対して、共通認識の醸成を図り、合意形成を得るため、政策討論会を開催することができる。
(委員会の活動)
第12条 委員会審査に当たっては、資料等を積極的に公開しながら市民に対し、分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。
2 委員長は、委員会の秩序保持に努め、委員長報告及び質疑に対する答弁も責任をもって行わなければならない。
3 委員会は、その所管する事務について積極的な調査研究を行い、政策提案を行うように努めるものとする。
4 委員会は、視察を行ったときは、その内容を本議会及び議会だより等で公表し、関係部署との意見交換の場を設けるものとする。
(政務活動費の執行)
第13条 議員は、政策立案又は提案を行うため、及び調査、研究その他の活動に資するために交付される政務活動費の執行に当たっては、柳川市議会政務活動費の交付に関する条例(平成17年柳川市条例第165号)及び柳川市議会政務活動費の交付に関する条例施行規則(平成17年柳川市規則第134号)を遵守し、効率的・効果的に活用しなければならない。
(議員研修の充実強化)
第14条 議会は、議員の政策形成、立案能力の向上等を図るため、議員研修の充実強化を図るものとする。
2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、市民等との議員研修会を積極的に開催するものとする。
3 議員は、研修終了後、議長又は委員長の求めに応じ、報告書を提出しなければならない。
(議会事務局の体制整備)
第15条 議長は、議員の政策形成及び立案を補助する組織として、議会事務局の調査及び法務機能の充実強化を図るよう努めるものとする。
(議会広報の充実)
第16条 議会は、議案に対する各議員の対応を議会だよりで公表する等、情報の提供に努めるものとする。
2 議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの市民が議会と市政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。
(議員定数)
第17条 議員定数は、行財政改革の視点、他市との比較だけでなく、市政の現状と課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するものとする。
2 議員定数の改正に当たっては、市民の直接請求による場合及び市長が提出する場合を除き、改正理由を付して、委員会又は議員から提出するものとする。
(議員報酬)
第18条 議員報酬は、行財政改革の視点だけではなく、市政の現状と課題並びに将来の予測及び展望を十分に考慮するものとする。
2 議員報酬の改正に当たっては、特別職報酬等審議会の意見を尊重するものとする。
(見直し手続)
第20条 議会は、この条例の目的の達成について、検証を行うものとする。
2 議会は、この条例を改正する場合には、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。
附則
この条例は、平成27年10月1日から施行する。