○柳川市消防本部惨事ストレス対策要綱
平成30年5月17日
消防本部訓令第3号
(趣旨)
第1条 この訓令は、柳川市消防本部衛生管理規程(平成17年柳川市消防本部訓令第7号)に定めるもののほか、災害出動等に起因する惨事ストレスの緩和について、必要な事項を定めるものとする。
(1) 惨事ストレス 災害出動等の業務に従事することにより、職員に生じるストレス反応の心理的負荷をいう。
(2) ストレス反応 心拍数の増加、発汗等の身体的な症状又は現実感の消失、集中力の低下、フラッシュバック等の精神的な症状をいう。
(3) デフュージング 災害等の心的外傷出来事の直後に行う、ストレス反応の緩和を目的とするグループでのミーティング又は惨事ストレスチェックリスト検査による当該職員の状況把握をいう。
(4) デブリーフィング 当該職員の惨事ストレスを緩和するため、組織で構造化された管理体制のもとにデフュージングを行うことをいう。
(5) PTSD ストレス反応の症状が4週間以上持続する心的外傷後ストレス障害をいう。
(6) IES―R 惨事ストレスが危惧される現場活動終了後から、1月を越える際に行うストレスチェック検査をいう。
(7) 緊急時メンタルサポートチーム 総務省消防庁が所管する団体で、大規模災害、特殊災害等が発生した場合において、現地の消防本部に出向き、惨事ストレス対策の支援をする団体をいう。
(所属長等の責務)
第3条 各課の課長又は係長(以下「所属長等」という。)は、所属職員が惨事ストレス反応の様相を呈している場合には、当該職員の惨事ストレスを発散させ、又は解消させるために適切な措置をとらせなければならない。
(職員の責務)
第4条 職員は、惨事ストレスの発生要因等を正しく理解するとともに、自らの健康維持に積極的に努めなければならない。
(対策の実施)
第5条 消防長は、職員に惨事ストレス対策の必要性を理解させ、次に掲げる対策を講じなければならない。
(1) 惨事ストレス教育対策
(2) 現場活動対策
(3) デフュージング対策
(4) デブリーフィング対策
(5) PTSD対策
(6) その他惨事ストレス解消のための必要な対策
(事前教育)
第6条 所属長等は、惨事ストレス対策の正しい理解、ストレスが心身に与える影響等を職員に周知させるために、組織的に事前教育の啓発に取り組むものとする。
(専門機関等)
第7条 職員の惨事ストレス対策において、医療上のカウンセリングが必要な場合は、次に定める専門機関に委ねるものとする。
(1) 産業医
(2) 緊急時メンタルサポートチーム
(3) その他消防長が指定する専門機関
(速報)
第8条 隊長は、出動部隊が次のいずれかに該当する現場等で活動をした場合は、帰署後、速やかに所属長等にその旨を報告するものとする。
(1) 子供や母子の死亡等悲惨な現場での活動
(2) 著しい身体の損傷等凄惨な現場での活動
(3) 多数の死傷者が発生した現場での活動
(4) 非常に危険又は不安定な状況下での活動
(5) 状況が極めて不明確な現場での活動
(6) 極寒、炎熱、暴風、豪雪、異臭等の状況下での長期間活動
(7) 同僚や知人の死亡等衝撃的な現場での活動
(8) 前各号に定める活動のほか、所属長等又は隊長が重度なストレスがかかったと認める活動
(事案発生時の対応)
第9条 所属長等は、前条に掲げる事案の発生を把握した場合は、別に定める柳川市消防本部惨事ストレス事案発生対応フロー(別図第1)に基づき対応するものとする。
2 所属長は、前項の報告を受けたときは、速やかに消防本部総務課長(以下「総務課長」という。)へ報告するものとする。
2 前項の管理する期間は、事案発生日から原則として6月とする。ただし、必要と認めるときは、この期間を延ばすことができる。
2 総務課長は、ミーティングの実施に際し、特に必要に認めるときは、メンタルヘルスの専門家に進行役を依頼することができる。
(実施上の遵守事項)
第13条 前条に規定するミーティングの進行役及び参加者は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 知り得た秘密を漏らさないこと。
(2) 参加及び発言を強制しないこと。
(3) 発言内容等を批判しないこと。
(完了報告)
第14条 総務課長は、惨事ストレス事案が完了したときは、完了報告書(様式第5号)により消防長へ報告するものとする。
(庶務)
第15条 惨事ストレス対策に係る庶務は、総務課が処理する。
(その他)
第16条 この訓令に定めるもののほか、必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
この訓令は、平成30年6月1日から施行する。
別図第1(第9条関係)
柳川市消防本部惨事ストレス事案発生対応フロー