○柳川市火災予防違反処理規程
平成27年10月27日
消防本部訓令第19号
柳川市火災予防違反処理規程(平成17年柳川市消防本部訓令第12号)の全部を改正する。
(趣旨)
第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)及び柳川市火災予防条例(平成17年柳川市条例第163号)に定める火災の予防に関する違反(火災発生又は人命危険を防止するための措置を必要とする状態若しくは行為を含む。以下「違反」という。)の処理について必要な事項を定めるものとする。
(1) 違反処理 警告、行政措置権の行使、告発又は免状返納命令要請措置等によって、違反を是正するための行政上の措置をいう。
(2) 警告 違反が認められる行為を行った者又は関係者(以下「関係者等」という。)に対し、違反の是正又は火災危険の排除を促す意思表示をいう。
(3) 不利益処分 行政手続法(平成5年法律第88号。以下「手続法」という。)第2条第4号に定める処分をいう。
(4) 聴聞 手続法第13条第1項第1号の規定に基づき、予定される不利益処分に関して、審理の場において意見陳述及び質問等の機会を与え、意見を聞くことをいう。
(5) 弁明の機会の付与 手続法第13条第1項第2号の規定に基づき、不利益処分の原因となる事実に関する意見陳述のための機会を与えることをいう。
(6) 命令 法の規定に基づき、関係者等に対し、違反の是正又は火災危険の排除のため必要な措置を講ずる義務を課す意思表示をいう。
(7) 公示 法第5条第3項及び法第11条の5第4項の規定(他の条文において準用しているものを含む。)に基づき、命令を行った場合において、違反状態が継続していることを周知することをいう。
(8) 催告 命令違反者に対し、当該命令の履行を催促する意思表示をいう。
(9) 許可の取消し 法第12条の2第1項の規定に基づき、法第11条第1項に規定する許可の効力を将来に向かって消滅させる意思表示をいう。
(10) 特例認定の取消し 法第8条の2の3第6項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)の規定に基づき、同条第1項に規定する特例認定の効力を将来に向かって消滅させる意思表示をいう。
(11) 告発 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第2項の規定に基づき、違反事実を捜査機関に申告し、違反者の訴追を求める意思表示をいう。
(12) 過料事件の通知 法第46条の5の規定に基づき、法第8条の2の3第5項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)又は法第17条の2の3第4項の規定による届出を怠った者を、過料に処せられる者として管轄地方裁判所に通知することをいう。
(13) 代執行 行政代執行法(昭和23年法律第43号)の規定に基づき、命令により他人が代わってなすことができる義務を履行しない場合に、命令者自らが義務者のなすべき行為を行い又は第三者に行わせ、その費用を義務者から徴収することをいう。
(14) 略式の代執行 法第3条第2項又は法第5条の3第2項の規定に基づき、法第3条第1項第3号及び第4号(法第5条の3第2項において準用するものも含む。)に掲げる措置をとることをいう。
(15) 免状返納命令要請措置等 法令違反を行った危険物取扱者又は消防設備士の免状返納命令に係る福岡県知事(以下「知事」という。)への報告及び当該違反者に対する通知を行うための一連の措置をいう。
(16) 履行期限 警告事項又は命令事項の履行に必要な合理的期間をいう。
(17) 行政措置権 法令に基づく命令、許可の取消し、特例認定の取消し、代執行及び略式の代執行を行う権限をいう。
(消防長の責務)
第3条 消防長は、社会公共の安全を確保するため、違反に関する情報を把握し精査するとともに、行政措置権を行使して火災予防等に努めなければならない。
2 消防長は、柳川市火災予防査察等に関する規程(平成17年柳川市消防本部訓令第11号)に規定する査察(以下「査察」という。)による違反是正指導から違反処理への移行時期及び違反処理業務の進行管理に努めなければならない。
(違反処理の区分)
第4条 違反処理は、次に掲げる区分による。
(1) 警告
(2) 命令
(3) 許可の取消し
(4) 特例認定の取消し
(5) 告発
(6) 過料事件の通知
(7) 代執行
(8) 略式の代執行
(9) 免状返納命令要請措置等
(違反処理の基本的留意事項)
第5条 違反処理は、次の各号に掲げる事項に留意して行わなければならない。
(1) 違反処理は、違反の内容又は火災危険の重大性に着目し、時機を失することなく厳正公平に行うものであること。
(2) 違反処理事務を行うにあたっては、関係者に対し誠実かつ沈着、冷静に対処するものであること。
(3) 違反処理を行った事案については適時、追跡確認を行い、その是正促進に努めること。
(違反処理基準)
第6条 違反処理は、この規程及び別に定める違反処理基準(以下「処理基準」という。)に定めるところにより行うものとする。
2 前項の規定にかかわらず違反の事実が明白で、かつ、火災予防上、人命安全上猶予できないと認める場合若しくは特異な違反事実の処理に係る場合は、処理基準に定める措置順序によらないことができるものとする。
3 第1項の規定にかかわらず、別に定める合理的な理由が存することにより、処理基準による違反処理を行うことが適当でないと認められる場合は、違反処理を留保することができるものとする。
(違反の調査等)
第7条 消防職員(以下「職員」という。)は、職務の執行に際し処理基準に該当する違反事実を発見し、又は聞知した場合は、速やかに消防長に報告しなければならない。
2 前項の報告を受けた消防長は、職員に命じて速やかに違反の事実の調査にあたらせるものとする。ただし、立入検査により違反の事実が確定している場合は、調査を省略することができる。
3 前項の規定による調査を命じられた職員は、調査した結果を別に定める違反調査報告書により消防長に報告するものとする。
(警告)
第8条 消防長は、違反が処理基準の警告の措置をとるべきものに該当する場合には、原則として、命令又は告発に係る前段的措置として警告を行わなければならない。
2 消防長は、処理基準の警告の措置をとるべき違反に該当しないものに対しても、火災の予防等のために必要であると認めるときは、警告を行うことができるものとする。
4 前項の規定にかかわらず、緊急に措置する必要があると認める場合で警告書を発するいとまがないときは、口頭で必要な事項について警告することができる。この場合、事後速やかに警告書を発行するものとする。
(履行期間中における履行状況の確認等)
第9条 消防長は、警告を行った場合は、警告事項の履行期間中における火災予防等のために、職員に査察を行わせるものとし、併せて警告事項の履行状況を調査させるものとする。
2 職員は、履行期限が経過しても警告事項が履行されていない場合は、違反内容を調査し、違反調査報告書により消防長に報告しなければならない。
(上位措置への移行)
第10条 消防長は、前条第2項の報告を受けた場合は、速やかに、違反処理基準に定める上位措置へ移行しなければならない。
(事前手続)
第11条 この規程において、聴聞が必要な不利益処分とは次に掲げるものをいう。
(1) 許可の取消し
(2) 特例認定の取消し
(3) 法第13条の24の規定による命令
2 この規程において、弁明の機会の付与が必要な不利益処分とは、次に掲げるものをいう。
(1) 法第5条第1項の規定による命令
(2) 法第5条の2第1項の規定による命令
(3) 法第8条第4項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)の規定による命令
(4) 法第8条の2第6項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)の規定による命令
(5) 法第12条の2第1項及び第2項の規定による命令
(6) 法第14条の2第3項の規定による命令
(準用)
第12条 前条の手続きにおいて、聴聞及び弁明が必要な不利益処分については、柳川市行政手続条例(平成17年柳川市条例第11号)、柳川市行政手続条例施行規則(平成17年柳川市規則第17号)、柳川市聴聞及び弁明の機会の付与の手続に関する規則(平成17年柳川市規則第18号)を準用する。
(命令)
第13条 消防長は、違反が処理基準の命令の措置をとるべきものに該当した場合は、原則として命令を行わなければならない。
2 消防長は、違反処理基準の、命令の措置を行うべき違反に該当しないものに対しても、火災予防等のために特に必要と認めるときは、命令を行うことができるものとする。
4 消防長は、緊急に措置する必要があると認める場合で前項の命令書を発するいとまがないときは、口頭で必要な事項について命令することができる。この場合、事後速やかに命令書を発行するものとする。
5 法第3条第1項及び法第5条の3第1項の規定に基づく命令については、立入検査その他の業務の遂行中において、処理基準の命令の措置をとるべきものに該当する違反を発見した消防吏員が命令書を交付し命令を行うものとする。
6 消防吏員が緊急に措置する必要があると認める場合で前項の命令書を発行するいとまがないときは、口頭で必要な事項について命令することができる。この場合、事後速やかに命令書を発行するものとする。
(命令の通知等)
第14条 消防長は、法第11条の5第2項の規定による命令を行った場合は、別に定める方法により、当該移動タンク貯蔵所につき法第11条第1項の規定による許可を行った市町村長等に通知するものとする。
(教示)
第15条 命令を書面で行う場合又は命令を口頭で行う場合で利害関係人から教示を求められたときは、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第82条の規定により、教示しなければならない。
(公示)
第16条 消防長は、法第5条第1項、法第5条の2第1項、法第5条の3第1項、法第8条第3項若しくは第4項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)、法第8条の2第5項若しくは第6項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)、法第8条の2の5第3項、法第11条の5第1項若しくは第2項、法第12条第2項、法第12条の2第1項若しくは第2項、法第12条の3第1項、法第13条の24第1項、法第14条の2第3項、法第16条の3第3項若しくは第4項、法第16条の6第1項又は法第17条の4第1項若しくは第2項の規定に基づく命令を行った場合は、当該命令に係る防火対象物及び製造所等又は当該防火対象物及び製造所等のある場所へ標識(様式第7号)の設置、その他別に定める方法により公示を行うものとする。
2 前項の公示は、命令を行った場合には、速やかに行い、当該命令の履行又は解除がなされるまでの間その状態を維持するものとする。
(命令の解除)
第18条 消防長は、別に定める命令について、命令事項の一部が是正されたことにより、当該命令の効力を継続させる理由が失われたときは、速やかに命令を解除するものとする。
2 命令の解除は、関係者に対し、命令解除通知書(様式第9号)を交付することにより行うものとする。
(許可の取消し)
第19条 消防長は、違反が処理基準の許可の取消しの措置をとるべきものに該当する場合は、原則として、許可の取消しを行わなければならない。
2 許可の取消しは、許可取消書(様式第10号)を交付することにより行うものとする。
(特例認定の取消し)
第20条 消防長は、特例認定の取消しを行う場合は、特例認定取消書(様式第11号)を交付することにより行うものとする。
(告発)
第21条 消防長は、違反が処理基準の告発の措置をとるべきものに該当した場合で、別に定める告発を留保する理由が該当せず、かつ、告発を行うことが必要と認めるときは、告発を行うものとする。
(告発の手続)
第22条 告発は、違反の生じた場所を管轄する捜査機関の司法警察員又は検察官に対して行うものとする。
(1) 立入検査結果の通知書(写し)
(2) 警告書、命令書(写し)
(3) 図面、写真
(4) その他違反事実及び情状の認定に必要な資料
(事前協議)
第23条 消防長は、告発をする場合は、必要に応じて事前に市長と協議しなければならない。
(過料事件の通知)
第24条 消防長は、法第8条の2の3第5項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)及び第17条の2の3第4項の規定による届出を怠った者を覚知した場合で、過料をもって対応すべきと認めるときに行うものとする。
(過料事件の手続)
第25条 過料事件の通知は、法第8条の2の3第5項(法第36条第1項において準用する場合を含む。)及び第17条の2の3第4項の規定による届出を怠った者の住所地を管轄する地方裁判所に対して行うものとする。
2 過料事件の通知を行うときは、過料事件通知書(様式第13号)に次の資料を添付して行うものとする。
ア 法第8条の2の3第5項の規定による届出を怠った者に係る通知
(1) 特例認定防火対象物の管理権原者であったことを証する資料
(2) 特例認定防火対象物の管理権原者に変更があったことを証する資料
(3) 過料に処せられるべき者の住所地を証する資料
(4) 違反時点において特例認定防火対象物であったことを証する資料
イ 法第17条の2の3第4項の規定による届出を怠った者に係る通知
(1) 法第17条第3項の認定を受けたことを証する資料
(2) 総務省令で定める軽微な変更を行ったことを証する資料
(事前報告)
第26条 消防長は、過料事件の通知を行う場合は、必要に応じて事前に市長に報告するものとする。
(1) 戒告書(様式第14号)
(2) 代執行令書(様式第15号)
(3) 代執行費用納付命令書(様式第16号)
(4) 代執行執行責任者証(様式第17号)
(証票の携帯)
第28条 消防長及びその他の消防吏員が、執行責任者として代執行の現場に赴くときは、前条第2項第4号の証票を携帯し、要求があるときは、いつでもこれを呈示しなければならない。
(略式の代執行)
第29条 消防長は、法第3条第1項又は法第5条の3第1項の命令に係る履行義務者を確知することができないために当該命令を発することができない場合には、法第3条第2項又は法第5条の3第2項の規定に基づき、当該消防職員に法第3条第1項第3号及び第4号に掲げる措置をとらせるものとする。
2 消防長は、略式の代執行の事前公告を行う場合は、公告書(様式第18号)を消防本部に2週間掲示することにより行うものとする。
3 消防長は、略式の代執行により物件を保管した場合は、保管物件公告書(様式第19号)を、消防本部に、保管を始めた日から掲示しなければならない。
4 消防長は、前項の掲示を行った日から、14日経過しても保管物件の所有者を知ることができない場合は、当該公告の要旨を柳川市公告式条例(平成17年柳川市条例第4号)第2条第2項の掲示場に掲載する手続きをとるものとする。
5 消防長は、当該物件の除去及び保管に要した費用があるときは、所有者等又は所有権を放棄した者に対し、民事上の手続及び保管費用納付命令書(様式第20号)を交付することにより、当該費用を徴収するものとする。
(免状返納命令要請措置等)
第30条 職員は、危険物取扱者又は消防設備士が、別に定める免状返納命令要請措置に関する基準(危険物取扱者・消防設備士)に定める違反行為を行ったことを覚知した場合は、速やかに消防長に報告するものとする。
(再発防止措置)
第31条 消防長は、別に定める事案が発生した場合は、必要に応じて、再発防止を図るための措置を行うものとする。
(警告書等の交付手続)
第32条 この規程に定める警告書、命令書、催告書、許可取消書、特例認定取消書、戒告書、代執行令書及び代執行費用納付命令書、危険物取扱者違反事項通知書及び消防設備士違反事項通知書(以下「警告書等」という。)を発行するときは、原則として、当該関係者に直接交付し、受領書(様式第25号)に署名を求めるものとする。
2 前項の警告書等の受領を拒否した場合、その他必要あるときは、配達証明、内容証明の取扱い等により郵送するものとする。
(関係行政機関との連携)
第33条 消防長は、立入検査において指摘した他法令の防火に関する規定の違反については、主管行政庁に通知し、是正促進を要請するとともに、十分な連絡を図り、その改善指導に努めるものとする。
2 消防長は、他法令違反が存する防火対象物の違反是正措置等を講じる場合には、関係機関と十分な情報提供及び連絡調整を行うとともに、自ら違反事実の把握に努め、ほかに手段がない場合に、他の関係官公署の事務に支障がないように配慮しつつ、法第35条の13の規定に基づく照会を、火災予防関係事項照会書(様式第26号)により行うなど、適切な措置を講じるよう相互の連携に努めるものとする。
3 消防長は、違反処理につき関係機関より協力を求められたときは、必要に応じ協力するものとする。
(違反処理結果の確認等)
第34条 消防長は、違反処理を行った場合は、事後の改善指導、履行状況の確認等その経過を別に定める違反対象物台帳に記録しておかなければならない。
(報告)
第35条 職員は、違反処理を行った場合及び違反処理が完結した場合は、別に定める違反処理報告書及び違反処理完結報告書により、消防長へ報告するものとする。
2 消防長は、前項により報告を受けた場合は、別に定める違反処理通知書及び違反処理完結通知書により、必要に応じて市長へ報告するものとする。
3 前2項の報告には、関係資料を添付するものとする。
(その他)
第36条 違反処理の実施に関し必要な事項はこの訓令に定めるもののほか、消防長が別に定める。
附則
この訓令は、平成27年11月1日から施行する。
附則(平成28年3月25日消本訓令第1号)
この訓令は、行政不服審査法(平成26年法律第68号)の施行の日から施行する。
附則(令和3年3月29日消本訓令第12号)
この訓令は、令和3年4月1日から施行する。
附則(令和5年12月20日消本訓令第13号)
(施行期日)
1 この訓令は、令和6年1月1日から施行する。
(経過措置)
2 この訓令による改正前の各訓令に規定する様式による用紙で現に残存するものは、当分の間、所要の修正を加え、なお使用することができる。