○柳川市政治倫理条例

平成19年12月28日

条例第29号

(目的)

第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その受託者たる市長、副市長及び教育長(以下「市長等」という。)並びに市議会議員(以下「議員」という。)は、市民全体の奉仕者として、人格と倫理の向上に努め、いやしくもその地位による影響力を不正に行使して、自己の利益を図ることのないよう必要な措置を定めることにより、市政に対する市民の信頼に応えるとともに、市民が市政に対する正しい認識と自覚を持ち、もって公正で開かれた民主的な市政発展に寄与することを目的とする。

(市長等及び議員の責務)

第2条 市長等及び議員は、市民の信頼に値する倫理性を自覚し、市民に対し自ら進んでその高潔性を明らかにしなければならない。

2 市長等及び議員は、常に市民全体の利益を擁護し、いやしくも特定の個人、団体の利益を求めて、公共の利益を損なうようなことがあってはならない。

3 市長等及び議員は、刑法上の贈収賄罪に該当するか否かを問わず、その職務の公正を疑わせるような金品授受等の行為をしてはならない。

(市民の責務)

第3条 市民は、主権者として自らも市政を担い、公共の利益を実現する自覚を持ち、市長等及び議員に対し、その権限又は地位による影響力を不正に行使させるような次に掲げる働きかけを行ってはならない。

(1) 次条第1項第3号に規定する工事等の指名又は選定の依頼

(2) 市職員(臨時職員及び非常勤職員を含む。以下「職員等」という。)の採用に関して推薦又は紹介の依頼

(3) その他飲食の供与等社会通念上疑惑を持たれるおそれのある行為

(政治倫理基準)

第4条 市長等及び議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。

(1) 市民全体の代表者として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。

(2) 市民全体の奉仕者として常に人格と倫理の向上に努め、その地位を利用していかなる金品をも授受しないこと。

(3) 市及び地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第221条第3項に規定する法人が発注する公共工事、業務委託、物品納入及び使用資材の購入(以下「工事等」という。)に関して特定の業者の推薦又は紹介をするなど、有利な取り計らいをしないこと。

(4) 職員等の採用に関して推薦又は紹介をしないこと。

(5) 議員は、職員の昇任、異動に関して推薦又は紹介をしないこと。

(6) 政治活動に関して企業、団体等から寄附等を受けないものとし、その後援団体についても政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附等を受けないこと。

2 市長等及び議員は、政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自ら潔い態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならない。

(資産等報告書の提出)

第5条 市長等及び議員は、毎年5月31日までに次条に定める資産報告書、所得報告書、贈与報告書、納付状況報告書、関連会社等報告書及び資産等補充報告書(以下「資産等報告書」という。)を作成し、市長等にあっては市長に、議員にあっては市議会議長(以下「議長」という。)に提出しなければならない。ただし、市長等及び議員は、その任用開始の日(公職選挙法(昭和25年法律第100号)第259条の2の規定の適用がある者にあっては、当該者の退職の申立てがあったことにより告示された選挙の期日とし、副市長及び教育長にあってはその選任又は任命の日とし、再選挙又は補欠選挙により当選人となった者にあっては、その選挙の期日とし、更正決定又は繰上補充により当選人と定められた者にあっては、その当選の効力発生の日とする。以下同じ。)において有する次条第1項各号に規定する資産等について、当該資産等の区分に応じ当該各号に掲げる事項を記載した資産等報告書を、同日から起算して60日を経過する日までに、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出しなければならない。

2 市長等及び議員は、前項に規定する資産等報告書の提出に当たっては、その配偶者の資産等報告書を併せて提出しなければならない。

(資産等報告書)

第6条 資産等報告書には、次の各号に掲げる事項を記入するものとする。

(1) 資産報告書(基準日は1月1日現在)

 土地(信託している土地(自己が帰属権利者であるものに限る。)を含む。) 所在、面積、地目及び固定資産税評価額並びに相続(被相続人からの遺贈を含む。以下同じ。)により取得した場合は、その旨

 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権 当該権利の目的となっている土地の所在、面積及び地目並びに相続により取得した場合は、その旨

 建物 所在、床面積及び固定資産税評価額並びに相続により取得した場合は、その旨

 自動車、船舶、航空機及び美術工芸品(取得価格が100万円を超えるものに限る。) 種類及び数量

 ゴルフ場の利用に関する権利(譲渡することができるものに限る。) ゴルフ場の名称

 預金(当座預金及び普通預金を除く。)及び貯金(普通貯金を除く。) 預金及び貯金の額

 有価証券(金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第1項及び第2項に規定する有価証券に限る。) 種類及び種類ごとの額面金額の総額(株券(株券が発行されていない場合にあっては、株券が発行されていたとすれば当該株券に表示されるべき権利を含む。)にあっては、株式の銘柄及び株数)

 貸付金(生計を一にする親族に対するものを除く。) 貸付金の額

 借入金(生計を一にする親族からのものを除く。) 借入金の額

(2) 所得報告書 前年分の所得について同年分の所得税が課される場合における当該所得に係る次に掲げる金額(当該金額が100万円を超える場合にあっては、当該金額及びその基因となった事実)

 総所得金額(所得税法(昭和40年法律第33号)第22条第2項に規定する総所得金額をいう。)、退職所得金額(同条第3項に規定する退職所得金額をいう。)及び山林所得金額(同条第3項に規定する山林所得金額をいう。)に係る各種所得の金額(同法第2条第1項第22号に規定する各種所得の金額をいう。)

 租税特別措置法(昭和32年法律第26号)の規定により、所得税法第22条の規定にかかわらず、他の所得と区別して計算された所得の金額であって規則で定めるもの

(3) 贈与報告書 前年中において贈与により取得した財産について同年分の贈与税が課される場合における当該財産に係る贈与税の課税価格(相続税法(昭和25年法律第73号)第21条の2に規定する贈与税の課税価格をいう。)

(4) 納付状況報告書 前年度以前に地方公共団体から賦課された税及び地方公共団体に関する使用料、手数料、借入金等の納付状況

(5) 関連会社等報告書 会社その他の法人において有するすべての地位及び肩書。ただし、第16条の規定に該当する親族がある場合は、その親族についても併せて報告しなければならない。

2 市長等及び議員は、その任期中、既に報告済みである資産等であって、前項第1号アからに掲げる資産等を1月1日までに新たに有することとなったときは、資産報告書に代わり資産等補充報告書において報告できるものとする。

(資産等報告書の保存及び閲覧)

第7条 第5条及び前条第2項の規定により提出された資産等報告書は、これらの提出期限の翌日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない。

2 市長及び議長は、資産等報告書を受理してから30日以内に、閲覧に供さなければならない。

3 何人も、市長等及び議員に対し、第1項の規定により保存されている資産等報告書の閲覧を請求することができる。ただし、これらの閲覧期間は、閲覧開始の日から保存期間の満了する日までとする。

4 市長及び議長は、資産等報告書を閲覧に供したときは、その旨を広報紙等に公告するものとする。

5 何人も、閲覧により知り得たことは、第1条の目的に添うよう適正に活用しなければならない。

(政治倫理審査会の設置)

第8条 政治倫理確立のため必要な事項の調査、資産等報告書の審査その他の処理を行うため法第138条の4第3項の規定に基づき、柳川市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。

2 審査会は、政治倫理基準に反する行為をした疑いがある場合又は市民から調査請求があった場合は、当該市長等及び議員に対し事情聴取し、若しくは資料の提出を求め、又はその関係者に対し必要な調査をすることができる。

3 審査会の委員は、5人以内とし、地方自治の本旨に理解があり、かつ、政治倫理及び資産等報告書の審査に関し専門的知識を有する者並びに法第18条に定める選挙権を有する市民のうちから市長が、議会の同意を得て委嘱する。

4 審査会の委員の任期は、2年とし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任することができる。

5 審査会の会議は、公開するものとする。ただし、やむを得ず非公開とするときは、出席委員の3分の2以上の同意を要する。

6 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(資産等報告書の審査)

第9条 議長は、議員に係る資産等報告書の写しを審査のため市長に送付し、市長は、市長等に係る資産等報告書の写しとともに、これを審査会に提出し審査を求めなければならない。

2 審査会は、前項の規定により提出された資産等報告書を審査し、資産等報告書に疑義があるときは、報告者に対し事情聴取し、若しくは資料の提出を求め、又はその関係者に対し必要な調査をすることができる。

3 審査会は、第1項の規定により審査を求められたときは、審査を求められた日から起算して90日以内に意見書を作成し、市長に提出しなければならない。

4 市長は、前項の規定により提出された意見書のうち議員に係る意見書を議長に送付しなければならない。

(審査結果の閲覧)

第10条 市長及び議長は、前条第3項の規定により提出された意見書を閲覧に供さなければならない。

2 意見書の閲覧については、第7条第3項の規定を準用する。

(市民の調査請求権)

第11条 市民は、閲覧に供された資産等報告書に疑義があるとき、又は市長等及び議員がこの条例に定める政治倫理基準に反する行為をした疑いがあるときは、その趣旨を明らかにした書面に法第18条に定める選挙権を有する30人以上の連署をもって、市長等に係るものについては市長に、議員に係るものについては議長に、調査を請求することができる。

(虚偽報告等に関する措置)

第12条 市長又は議長は、審査会の意見書において、資産等報告書が虚偽の報告又は調査に協力しなかった等の指摘があったときは、その旨を広報紙等で公表するものとする。

(刑法事犯による起訴後の説明会)

第13条 市長等又は議員が、刑法(明治40年法律第45号)その他刑罰法規の適用を受ける事犯(以下「刑法事犯」という。)により起訴され、なお、引き続きその職にとどまろうとするときは、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に市民に対する説明会の開催を求め、当該市長等又は議員は、説明会に出席し、釈明することができる。

2 市民は、前項の規定による説明会が開催されないときは、その趣旨を明らかにした書面に法第18条に定める選挙権を有する20分の1以上の連署をもって、同項に規定する起訴の日から50日以内に当該市長等又は議員に説明会の開催を請求することができる。

3 市民は、説明会において、当該議員又は市長等に質問することができる。

4 前3項に定める説明会の開催及び運営についての手続は、市長又は議会においてあらかじめこれを定める。

(刑法事犯の有罪判決宣告後における説明会)

第14条 前条の規定は、市長等又は議員が、刑法事犯により有罪判決の宣告を受け、なお引き続きその職にとどまろうとするときの説明会の開催等について準用する。ただし、開催請求の期間は、判決の日から30日を経過した日以後50日以内とする。

(刑法事犯の有罪確定後の措置)

第15条 市長等又は議員が前条の有罪判決の宣告を受け、その刑が確定したときは、公職選挙法第11条第1項の規定により失職する場合を除き、市長又は議会は、その名誉と品位を守り市民の信頼を回復するため必要な措置を講ずるものとする。

(市の工事等に関する遵守事項)

第16条 市長等及び議員の配偶者並びに2親等以内又は同居の親族(以下この条において「配偶者等」という。)は、法第92条の2、第142条、第166条及び第180条の5の規定の趣旨を尊重し、市及び法第221条第3項に規定する法人との請負契約を辞退して、市民に対し疑惑の念を生じさせるようなことがあってはならない。

2 配偶者等の一般物品納入契約については、前項の規定を準用する。

3 配偶者等が無限責任社員、取締役若しくはこれらに準ずべき者となっている会社その他の法人の請負契約及び一般物品納入契約については、前2項の規定を準用する。

(辞退届の提出等)

第17条 市長等及び議員は、前条に規定する関係代表者が契約を辞退するときは、関係代表者との連署のうえ責任をもって辞退届を提出するものとする。

2 前項の辞退届は、市長等又は議員の任期開始の日から30日以内に市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出するものとする。

3 議長は、前項の規定により提出された辞退届の写しを、市長に送付しなければならない。

(遵守事項違反に関する措置)

第18条 市長及び議長は、第16条に違反している疑いがある場合又は市民から調査請求があった場合、速やかに審査会に調査を依頼しなければならない。

2 前項の規定により審査した結果、審査会において、前条の規定に違反しているとの結果が出た場合は、市長は、当該契約を締結してはならない。この場合において、市長は、その旨を広報紙等で公表するものとする。

(委任)

第19条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成20年4月1日から施行する。

(平成22年12月3日条例第26号)

この条例は、公布の日から施行する。

(令和元年10月4日条例第33号)

この条例は、令和2年4月1日から施行する。

柳川市政治倫理条例

平成19年12月28日 条例第29号

(令和2年4月1日施行)