地域おこし協力隊奮闘記とは…
地域外で生活する人の視点で、柳川の新たな魅力を掘り起こす「地域おこし協力隊員」。九州外からやってきた隊員たちの日々の活動や、柳川の魅力などをブログ形式でお届けします。

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後の雛をご存じですか?
2015年10月30日 13時10分

みなさん、こんにちは。柳川市地域おこし協力隊の阿部です。

今回は「柳川菊の節句~柳川まちかどミュージアム」をご紹介させていただきます。


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 「後の雛(のちのひな)」をご存じですか? その前に、五節句の一つである「重陽(ちょうよう)の節句」はご存じですか? 1月7日=人日の節句(七草がゆ)、3月3日=上巳の節句(桃の節句。ひな祭り)、5月5日=端午の節句(菖蒲の節句。鯉のぼりや五月人形)、7月7日=七夕(しちせき)の節句(たなばた祭り)は広く行われていますが、9月9日の重陽の節句はすたれてしまっていて、行われている地域がとても少ないのが現状です。農繁期と重なることがその原因の一つだと考えられています。

 古来、奇数は「陽」の数字とされており、中でももっとも大きい陽数が二つ重なる9月9日を「陽が重なる=重陽」と捉え、菊の節句として不老長寿や繁栄を願う行事をしてきました。



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 なぜ菊が不老長寿につながるのでしょうか? その由来は、中国の故事を基にした能「菊慈童(きくじどう)」の話によく表されています。


魏の文帝に仕える臣下が霊水の源を訪ねて「れっけん山」の奥に行くと、周王に召し使われていた慈童(少年)と言葉を交わします。周の時代は、魏の文帝より700年も昔のことなので臣下は大いに驚きます。慈童は、仏徳を讃える偈[げ]と呼ばれる詩を記した枕を帝から賜わったことや、この偈を菊の葉に書き写すと、その葉の上に集まった露が薬水になったことを語ります。そしてその薬水を飲んで不老不死になったと告白します。


 重陽の節句では、「着せ綿(被綿とも書きます)」と呼ばれる真綿を菊の花にかぶせます。そして、早朝、菊の朝露の染みた着せ綿で身体をぬぐうと、無病息災で過ごすことができると信じられているのです。


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 江戸時代には、この重陽の節句にあわせて、虫干しを兼ねてひな人形を再び飾り、健康と長寿を祈る風習がありました。これを「後の雛」と呼びます。節句の風習を、大切なひな人形の保管と結びつけるとは、昔の人たちの知恵には本当に恐れ入ります。

 重陽の節句に柳川で飾られるこのお人形をよくご覧ください。お内裏様もおひな様も、ともにきれいな白髪頭となっていますね。「お前百までわしゃ九十九まで、ともに白髪の生えるまで」と語り継がれる長寿の願いを、お人形で見事に表現しています。ちなみに、「お前」が夫、「わしゃ」が妻のことですのでお間違いなく。


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 虫干しをするということは、普段は奥にしまってあるものが表に出るということでもあります。それなら、この重陽の節句で、普段は家の中で眠っている、その家の宝物をみなさんに見ていただいたらどうだろうか。こう考えて始まったのが、「柳川菊の節句~柳川まちかどミュージアム」です。数名の有志が集まって、本業で忙しい中、手弁当で始めた柳川まちかどミュージアム。派手さはありませんが、しっかりと地に足をつけた活動で、今年、6回目を迎えました。


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 柳川の宝物を一つ一つ訪ねながら、街歩きも楽しんでもらいたい。そう考えているので、イベントはスタンプラリー方式になっています。6つ以上のスタンプを集めた方には、記念の品を差し上げています。この菊の節句限定の三柱神社御守は非売品です。このスタンプラリーを達成した方しか手に入れられない激レア品です。希望者は袴で街歩きができるサービスもあり、大正ロマンがよみがえったような華やかな姿があちこちで見受けられました。


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 このイベントの素晴らしさの一つに、寺院が会場として開放されている点が挙げられます。実は、私たちの柳川は寺社の数が非常に多く、市内になんと120ものお寺や神社があります。これは人口比率にすると京都を上回るそうです(あるお寺のご住職からうかがいました)。藩主の入れ替わりがあったことや城下町だったためですが、それにしてもすごいぞ、柳川!

 これからはこうした寺社が、柳川のまちづくりやコミュニティ形成に積極的に関わるような仕組み作りができると理想的です。その意味でも、柳川菊の節句の催しは大切にしたいですね。

 

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 後の雛以外にも、素敵な宝物がたくさんのイベント。昭和初期の染め物や匠の愛した大工道具、古今東西の凧を集めた展示など、普段は見られないものが目白押し。ご本尊について熱く語る神社もあれば、安東省庵にちなんだ子どもたちの論語暗唱もあり、最終日には、北原白秋ゆかりの懐月楼(現在の松月文人館)で、筑前琵琶の生演奏もありました。古き良き柳川の風情が至る所に感じられます。この写真は、昭和初期の柳川を撮影したフィルムの映写会の模様。スクリーンの中に自然と引き込まれてしまいます。

 宝物は何も古いものばかりとは限りません。絵画や写真、木工品、パッチワーク、創作人形など、現在、活動されている方々のバラエティに富む作品がたくさん並んでいます。昔のものも今のものも、良いものは良い。言ってみれば、柳川の宝物は、こうした文化を継いでいく人そのものだと言えるのかもしれません。


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 とは言うものの、イベントの内容が古き良き柳川がメインであって、それを懐かしむ高齢者のみなさんが中心になり、若い人たちの参加があまり多くありません。

 そこで今年はマルシェを企画。柳川の近隣で活躍する方々をお呼びして、「kiku cafe」という雑貨と飲食を楽しめるスペースを提供しました。

 こちらは、リヤカーを改造した移動式カフェ「T-CARGO」さん。普段は大刀洗で活動しています。うん、やはり外で飲むコーヒーは美味しいですね。いやいや、外だからではなく、豆も、いれ方もいいんですよ。


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 かわいらしい雑貨をたくさん持ってきてくださった「chouette」さん。女の子だったら必ず欲しくなってしまいそうなグッズが、テーブル一杯に待っています。お店の方とお客さんが楽しそうにお話しされているのがとてもいい感じでした。これは女子ならではのコミュニケーションなのでしょうね。


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 こちらは「toi+seno*3」さんの手作りバッグ。最近よく思うのは、手作り=世界に一つだけということ。作品のかけがえのなさを感じると、さらに良さが伝わってきます。柳川は、こういう女子が買い物を楽しめるお店がほとんどありません。誰か出店しませんか? 全力でサポートしますよ!


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 「笑文字」の高見憲子さん。名前を素敵にデザインしてくれて、見ているだけでハッピーな気分にさせてくださいます。私も以前に書いていただいたのですが、気のせいか、それから運気が上昇してきたような。自分用だけでなく、お友達や出産のお祝いにしても喜ばれそうですね。


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 最後に紹介するのは、三瀬スパイス研究所「旅するクーネル」さん。ここのスパイシーカレーは絶品ですね! カレーが大好きでカレーの海で泳ぎたい私が言うのだから間違いありません。さすがに大人気で、なんと大分からお見えになったお客さんもいらっしゃったほど。カレー職人を目指す中学生が真剣に食べていた姿が感動的でした。ご夫婦の人柄がとても温かくて、カレーと一緒に、訪れたみなさんを身体の底から温めていました。

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 ここまで良いことばかり並べて書いてきましたが、実のところは、お客さんの参加が少なく、あまり盛り上がらない2日間だったというのが飾らない事実です。柳川市内、近隣の市町村のいろいろな催しと重なったこともあるのかもしれませんが、それ以上に、このイベント自体の集客力がなかったというのが本当のところでしょう。

 では、柳川菊の節句はこのまますたれていくしかないのか。この問題に一つの光明を見いだすことができました。イベント2日目、大学生と高校生のコラボレーション企画として、柳川菊の節句に参加してもらい、一緒に街歩きをしてもらうことができました。

 古いものをたくさん見て、たくさんのこだわり話を聞いて、もうたくさんだと思われないかと内心はらはらしていましたが、街歩きの後で彼らの口から聞こえてきたのは、「とても楽しかった」「柳川の魅力を再発見できた」「今度はもっとゆっくり街を歩いてみたい」という声でした。

 年齢に関係なく、良いものは良いということは伝わるものだ。これは自信になりました。そして、こうした若い人たちのパワーと、柳川を愛し続けてきた人たちの思いを一つにすることで、柳川は間違いなく新しい時代を築いていける。今から、次の菊の節句が待ち遠しくてなりません。やはり柳川はいいところですね。柳川、大好きです!

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