背景色
文字サイズ

ふりがなをつける

HOME部課長の1分間スピーチ健全財政を次世代につなぐ

ここから本文です。

部課長の1分間スピーチ

健全財政を次世代につなぐ

01_IMG_6752.jpg

財政課長の田中勝裕です。
これまでの私のブログは、仕事6割、趣味や時事ネタ4割という感じでした。なるべく読みやすく、なるべくやわらかく・・・。そう考えて書いてきました。しかし、財政課長として5年、財政課通算で13年が経過しようとしている今、皆さんにお伝えしたいこともあり、仕事10割の内容でいこうと考えながらパソコンに向かっています。最後までお付き合いいただければ幸いです。

予算とは

財政担当で最も重要な仕事は予算の編成だと思っています。
とはいえ何気なく予算という言葉を使いますが、そもそも「予算」とは何でしょうか?
市の役割から考えてみます。市は、市民の福祉の増進を図るため、行政全般を主体的に実施する役割を担います。そして実施する事業は、計画的に、かつ、財源の範囲内で実施しなければなりません。そのためには3つの計画が必要です。

1、市の事務事業の執行計画
2、事業執行に必要な財源の調達計画
3、事業経費の執行計画

実際には、このような名前の計画はありませんが、この3つの計画の内容を、歳入、歳出という金額で表して取りまとめた計画が「予算」です。

 

もう一つの予算の役割

予算は、市のビジョンを市民の皆さんにご理解いただくためのツールでもあります。
令和6年度予算では、特に「子育て支援」と「教育環境の充実」に配慮して編成しています。予算書を丁寧に読み解くと、そうしたことが見えてきます。このような予算で示した市のビジョンを分かりやすく説明することも私たち財政担当者の仕事です。広報やながわ4月号や市公式サイトでお知らせしますので、ぜひご覧ください。

 

予算の調製

予算編成は、市長が10月に予算編成方針を示すところから始まります。
各部署は方針に沿って予算を要求し、財政課で要求内容を審査し必要な調整を行います。最終的には1月の市長査定で予算の内容を決定します。

 

財政担当者の悩み

予算編成の過程で、私たちは大きな悩みを抱えます。
各部署からの予算要求は、すべてが市民のため、市の発展のための予算だと受け止めています。地域から要望される道路や水路の整備、公共施設の維持、さまざまな補助金などについても、できれば予算に計上したい気持ちがあります。
しかし、市の歳入には限度があります。事業の取捨選択が必要になり、ここで財政担当者は悩みます。
すべての要求を、要求どおりに予算に計上すれば、遠くない将来に市の貯金(基金積立金)は枯渇し、借金(市債)が膨れ上がり、その結果、緊縮財政を強いられることとなります。当たり前の市民サービスができなくなったり、税金や手数料などを値上げしたり、市民生活に悪影響が確実に出てきます。

 

将来のために今なすべきこと

今の大人たちの都合で、市の将来を担う子どもたちに過剰な負担を残してはいけません。
公共施設を例に考えます。今ある公共施設は、人口が多かった時代に、合併前の1市2町がそれぞれに整備したものが大部分です。重複した施設も多く、今の子どもたちが大人になるころには、間違いなく施設が多すぎる状況になります。施設の維持費に予算をとられてしまい、必要な行政サービスができない、そういった時代がやってきます。
そうならないために、今の大人が10年後、20年後のことを考え、今のうちから計画的に公共施設の数を減らし、適正化しなければなりません。

 

令和6年度の一般会計予算

令和6年度予算は333億円の規模になりました。紙面の都合上、個々の予算の紹介はできませんが、市長の方針で、子育て支援と教育環境の充実に注力しつつ、安全安心、福祉、産業活性化、道路・水路のインフラ整備などにもバランスを考慮して財源を配分し編成しました。
子どものために財源を重点配分した関係で、予算を減額した事業もあります。1人1人、この予算に対する評価は異なると思います。不満を持たれる人もいらっしゃると承知していますが、柳川市が今後も持続可能なまちとして存続するため、苦悩の末の予算であることをご理解いただければ幸いです。

 

市債(借金)は悪か

できるだけ市債は少ない方がいいのは間違いありませんが、あまり知られていない積極的に市債を借り入れるべき理由もあります。
1つ目の理由として、市債を償還するときに国の政策によって財政支援を受けることができます。合併特例債を例にとると、償還金の70%の財政支援があります。1億円借りた場合、市の負担で償還するのは3千万円。7千万円もお得になります。
2つ目の理由として、世代間の負担の公平性が保てます。例えばごみ処理場。市債を借りなければ、建設時の市民が全額を負担することになり、将来の市民の負担がありません。市債を借りることにより、建設時の市民も将来の市民も平等に建設費を負担することになります。
市債≠悪 ただし節度が必要 ということです。

 

先輩の言葉

私が初めて財政課に配属された33年前に、私の財政の先生である武藤先輩から言われた言葉があります。「予算には2種類ある。1つは道路整備のようにその年度に結果を出す予算。もう1つは、将来のために投資する予算。目先の結果ばかり求めず、投資すべきところを常に考えなさい。」
ずいぶん昔に言われたことですが、今でも心にとどめています。

 

そして今考えること

予算は数字の羅列です。しかしその数字の向こう側には、市民の皆さんの生活があることを考えて、予算の一つ一つが市民福祉の向上につながるようしなければなりません。さらに大事なのは、将来を担う子どもたちに負担を残さないよう、規律ある財政運営をすることです。
財政担当者に与えられた使命だと考えています。
 

次回の部課長ブログは消防長です。

カテゴリー

ページトップへ